14才の地図
のろのろと、夏がゆく。

長い長い、夏が、ゆく。

窓の外をぼんやりながめて、詩人になっていると、

ドンドンドン。

乱暴なノックの音が響いた。

のり子だな?

「のり子ぉ? ケンタのオレンジシャーベット、買ってき…」

開け放ったドア。

そこに立ってたのは。

「真紀…」

すごい、冷たい眼で、あたしを睨んだ。

ちょっとした、迫力、だ。

でも、あたしはわざと気づかないふりをして、笑う。

「なぁしたの? 真紀、入んなよぉ」

「いーよ、ここで」

「でも」

「しつけーんだよっ!」

びっくりした。

マジだな、って判るのには、充分すぎる真紀の声音だった。

「聞くよ。話して」

あたしは、真紀を誘うのを諦めた。
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