14才の地図
「まい、あたしは、あんたが好きだよ。けど、自分の方が、もっと好きなんだ」

「ん」

「今夜、10時、大町のガード下。セピアで来な」

「花火でも、やんのぉ?」

ちょっと、笑った。

けど、判ってる。

そんなんじゃないってコト。

「逃げたきゃ、逃げてもいーんだぜ。の、かわり、今後一切、湘狂連とは縁切りだ」

「おだやかじゃないねー。理由は?」

「昨日、朽木が来たよ。あいつ、他の女と、全部、手ぇ切ってきたってゆってた。まいを1番にするために、だとさ。あとは、言う必要、ねーだろ?」

真紀は、本気だ。

「わ…かった…」

あたしは、静かにうなずいた。

「まさかと思うけどぉ。キタネーまね、すんなよ」

「みくびんじゃねーよ」

「OK。じゃ、今夜」

カンカンカンカンカン。

階段を降りてく音が、やたら大きく聞こえる。
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