14才の地図
「ごめぇん! 遅くなっちゃったぁーっ!」

ガチャッ。

のり子だ。

「おっそぉい。オレンジシャーベットぉ!」

戸口に駆け寄り、催促する。

「ちゃーんと買ってきたからっ」

「えっらぁーい。のり子ちゃん、愛してるっ」

ほっぺに、ちゅっと、キス。

「ったく。たまには、自分で買って食えよぉ」

「へへぇん」

あたしは、笑いながらのり子の言葉を聞き流した。

悟られちゃいけない。

卑怯者にだけはなりたくないから。

そして、のり子と2人で、オレンジシャーベットを食べた。

オレンジシャーベットは、いつもとおんなじ味がした。

あたしがどんなに変わっても、これだけは、変わらないな、って思うと、少し心が安らいだ。

それを確認したくて、あたしは、オレンジシャーベットに執着してるのかもしれない。
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