14才の地図
朽木に会いたくなかったから、夕方、早めにアパートを出た。

ま、今日だって、帰って来るとは限らないんだけどね、あいつのことだから。

セピアでちんたら走って行く。

と、辻堂団地が見えた。

いつもは、ヘーキで通りすぎてたけれど、今日は、なんとなく…。

もしかしたら、パパ、帰って来てるかなぁ?

なんて、思ってみた。

死ぬかもしんないって思ったら、会いに行けそうな気がした。

セピア、走らせる。

つくづく思うけど、無免で改造スクーター乗り回していて、よく、つかまんねーよなぁ。

ま、今、もってかれたら、今夜のレースはパァだけど。

へへっ。

ちょっと、オクビョーカゼ。

団地だぁ。

なぁんか、なっつかしーじゃん。

階段を、一段抜かしで駆け上がった。

ドアの前。

ドキドキ。

へぇんなのぉっ。なぁんで、自分ち帰って来て、ドキドキすんのぉ?
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