14才の地図
「そう。あなた、もしかして、まいちゃん?」

「どうして、あたしの名前…?」

看護婦さんは、うなずいた。

「あなたを呼んでるわ」

「えっ!」

「意識はないの。でも、ずっとうわごとで、あなたの名前を呼んでるわ」

「真紀…」

あたしは、胸がしめつけられた。

頭がおかしくなりそうだった。

真紀が、あたしを呼んでる…。

朽木でもない。

他のだれでもない、あたしを…。

「会わせてっ!」

看護婦さんに、すがりついた。

「いらっしゃい」

看護婦さんが、あたしの腕を取る。

その腕が、とてもあったかくて、頼りがいがあるように思えた。

あたしが、取り乱しちゃいけないって、かろうじて理性を奮い立たせてくれた。
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