14才の地図
大町のガード下が、今日の集合場所だった。

今日は、湘狂連だけじゃなくて、横須賀の『帝釈天』とか、レディスのチームとかも、たくさん集まってる。

あたしは、花屋で真っ赤な薔薇を買って来た。

辛気くさい白い花なんて、真紀にはふさわしくないから。

「お前の父親の、再婚相手、さつきだったって?」 

朽木が、訊いた。

「そぉ。あたし、もう、びっくりしちゃってさぁー」

「俺だって仰天したぜ」

「でも、他の人だったら、あたし、今、こんなに冷静でいられないと思う」

「認めてやんの?」

「ん。あんときは、裏切られたって、思ったけど、今は、ね」

「せーちょーしたじゃん」

「ただ、あたしが何やってたか、全部しってるでしょぉ? ちょっと、困るかな、なんて」

「贅沢なやつ。ちーとぐらい、肩身の狭い思い、しな」

「あら。じゃあ、朽木の方は、どーなの? 自分のオンナが、二股かけてたのよ?」

朽木は、苦笑した。

「ま、その件は、おいといて、だな」

「おいとかない!」

朽木は、首をすくめる。
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