14才の地図
5秒?

朽木が声かけた一瞬て、1秒もなかった。

0.5秒だぁー。

わずかに、0.5秒。

そんな、ギリギリの瞬間なんて、なかなかないよねー。

わかんねーだろーなぁー、のほほんと生きてる奴らには…。

ワカンネーホーガ、シアワセジャン。

バーカ。ソリャア、イキテルッテ、ユワネーンダヨ…。

あぁ。いい風。

あたしを包む空気と、爆音が、心地いい。

あのとき、もーダメだって瞬間、あたしは、朽木を視て、真紀は、絶望を視た。

0.5秒の絶望で、真紀は、死んだ──。

真紀…。

一色の交差点。

みんなが、思い思いに、アピールして通りすぎてゆく。

アクセル、あおって、ローリングして、ミュージックホーン鳴らして…。

あたしは、持っていた薔薇にキスをして、ふわりとそれを放り投げた。
< 223 / 225 >

この作品をシェア

pagetop