14才の地図
「だから、再婚していいって、言ってるじゃない」

 パパは、マイルド・セブンを取り出し、口の端にくわえて、火をつける。

「ああ。判った。…しかし、おまえもまだ子供だな、しっかりしていると思っていたんだが…」

むかっ。

ザッと、音をたてて、頭に血が登った。

「勝手にきめつけないでよっ!」

なんにも判ってないのは、パパのほうじゃない!

自分の都合で、勝手に、大人だとか、子供だとかっ!

「じゃあ、言わせてもらうけど、ママが生きているんですってね!?」

「な…」

タバコが、ぽろりと床に落ちた。

あんまりびっくりしすぎて、声もでないみたい。

「ママは、死んだんじゃなくて、若い男と逃げたって、おばちゃん、言ってたわ」

「ばかなことを言ってんじゃない」

「ねえ、本当なの?」

「うそだよ。おばさんは、勘違いして…」

パパは、猫撫で声。

「うそつきはどっちよっ!」

「……」
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