14才の地図
びっくりして振り返ると、さっきのクラウンが、くるりん、とスピンターンし、逆行してこっちへ来る。

「よう」

今度は、運転してたコワモテの兄ちゃんが、窓から首を出した。

「シカトこいてねーで、つきあえよ」

あたしは、キッとそいつを睨みつけた。

「ひゅー」

男は口笛を吹く。

「いい眼してんじゃん。俺の女になれよ」

なに言ってんだよ、こいつ。

あたしは、ますますきつく睨む。

と。

パッパラリラリラ…!

変な音のクラクションが、辺りに鳴り響いた。

「こぉらぁ! あたしのマブに、手ぇだすんじゃねーよっ!」

真紀ちゃんだ。

紫色のセリカに、ハコ乗りしてる。

「げっ。朽木のスケじゃん」

「やばいっすよ」

ちらっと、そんな会話がクラウンの中から聞こえた。

「彼女、またなっ!」

てきとーにそう言い残して、クラウンは、ぴゅーっと走り去った。
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