14才の地図
あっと言う間に見えなくなる。

あっけにとられているあたしの前に、その、紫色のボロいセリカが止まった。

「真紀ちゃん!」

真紀ちゃんは、紫色のツナギみたいな服を着て、頭にオーガンジーの紫色のリボンを結んでいる。

大きく開いた胸には、しっかりとサラシが巻いてあった。

「ああ、この格好? ごめん、ビビんないで。今日、一応、走るからぁ…」

すごい。すっごぉいっ!

真紀ちゃん、ホントに暴走族だったんだぁ。

だけど、服とかぴしっとキメてて、メチャかっこいー…。

「それよか、あいつらに何かされなかった?」

「ううん。べつに」

「良かった。あいつら、浜神の下っ端だよ。ついてったら、輪姦されちゃうから、注意しな」

輪姦…?

ひゃあ。こ、怖い…。

横浜鬼神連盟かぁ。

名前は、聞いたコトあるけど…。

「う、うん」

あたしは、めいっぱいビビりながら、うなずいた。

「ま、いーや。早く乗んなよ」

ガチャ。真紀ちゃんが、ドアを開けた。

シートを倒して、あたしは後ろへ乗り込む。
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