14才の地図
「出して」

真紀ちゃんが、運転してる男の子にそう言うと、車はすぐに発進した。

なんか、真紀ちゃん、すごく偉いみたい。

命令ひとつで、男の子を動かしちゃうし、さっきのクラウンの2人だって、なんか、ビビってた。

「よぉ。かわいーじゃん。まいちゃんてゆーの?」

不意に、運転してる男の子が、後ろを振り返って笑った。

わぁ。もろ、つっぱりっ!

でも、眼が大きくて、笑うとかわいい。

「こぉら、弥勒寺(みろくじ)。てめーは前見て運転してなっ」

真紀ちゃんが、ぴしゃりと言い放つ。

「へぇ。弥勒寺くんてゆーの?」

「そーそー。こいつ、将来、頭丸めてボーサンになるんだって」

「えー? ほんとぉっ!?」

「ゾク上がりの坊主…なんてなっ!」

ケタケタケタ。

弥勒寺くんが笑う。

うーん。

どこまで冗談で、どこまで本当なのか判んない。

けど、なんだか、こっちまで楽しくなるような、不思議な奴。
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