14才の地図
だんだん、赤トンが遠ざかって、いつのまにか、見えなくなった。

「怖かった? まいちゃん」

緒方くんが、ちらっとあたしの表情をうかがう。

あたしは、体中がなんだか熱くて、興奮しているのが自分でも判るくらいだった。

「どきどきしたけど、すっごく、きもちいーと思ったっ!」

「さぁっすがっ。真紀のマブ」

「バイク、気持ちよさそーだね」

「乗ってみたい?」

「うん。すごく」

「じゃあ、今度、教えてやるよ」

「ほんとぉ?」

「ああ。だけど、まいちゃん、いくつ?」

「えー? じゅーよん…」

「やっぱりぃ…」

緒方くんはくちごもった。

「無免は駄目かなぁ…?」

「ま、真紀も、無免でジョグやらCBXやら、転がしてるけどな」

「でもっ!」

「でも、16になるまで待ちきれない、か。判る判る」

緒方くんは、楽しそう。
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