14才の地図
誰にも言えないと思っていたことが、こんなに簡単に、しかも初対面の男の人に言えるなんて…。
不思議な気持ちがした。
あたしは、ここにいてもいいんだなって、そんな安心感が、あった。
昨日の夜、パパの帰りを待って、独りでふとんにくるまってたのが、遠い昔のことのよう。
あんなに寂しかったのが、嘘みたいだ。
「はぁーい! まーいーっ!」
左に、単車を数台引き連れた、紫の特攻服姿の真紀ちゃんが並んだ。
オーガンジーのリボンが、風にたなびく。
街灯に透けて、青白い炎のようだ。
「真紀ちゃんも、つかまんなかったんだぁっ!」
窓から、身を乗り出して、声を張り上げた。
「たりめーじゃん!」
真紀ちゃんは、白い歯を見せて、笑う。
「真紀ちゃぁん。かっこいーっ!」
夜の闇と、爆音と、赤いテイルランプが、あたしを酔わせる。
まるで、眠っていた何かが目覚めてゆくような。
そんな気が、した。
そして、真紀ちゃんたちと朝方までバカな話とかして、さんざん笑って、辺りが明るくなり始めたころ、緒方くんの車で団地まで送ってもらった。
夜明けの道も、周りの風景も、うす紫色に染まっていた。
ピンとはりつめた空気が、肌にここちよかった。
不思議な気持ちがした。
あたしは、ここにいてもいいんだなって、そんな安心感が、あった。
昨日の夜、パパの帰りを待って、独りでふとんにくるまってたのが、遠い昔のことのよう。
あんなに寂しかったのが、嘘みたいだ。
「はぁーい! まーいーっ!」
左に、単車を数台引き連れた、紫の特攻服姿の真紀ちゃんが並んだ。
オーガンジーのリボンが、風にたなびく。
街灯に透けて、青白い炎のようだ。
「真紀ちゃんも、つかまんなかったんだぁっ!」
窓から、身を乗り出して、声を張り上げた。
「たりめーじゃん!」
真紀ちゃんは、白い歯を見せて、笑う。
「真紀ちゃぁん。かっこいーっ!」
夜の闇と、爆音と、赤いテイルランプが、あたしを酔わせる。
まるで、眠っていた何かが目覚めてゆくような。
そんな気が、した。
そして、真紀ちゃんたちと朝方までバカな話とかして、さんざん笑って、辺りが明るくなり始めたころ、緒方くんの車で団地まで送ってもらった。
夜明けの道も、周りの風景も、うす紫色に染まっていた。
ピンとはりつめた空気が、肌にここちよかった。