14才の地図
今日は、3年になって始めての三者面談だった。

女子は、出席番号の36番から40番まで、放課後、残るように言われている。

三者面談には、どこの家でも、たいてい、ママが綺麗にお化粧してやって来る。

だけど、あたしんちには、ママがいない。

あたしが3つの時、病気で死んだから。

1週間前、会社から帰ってきたパパに、三者面談のことを言ったら、

「おお、そうか。こまったな」って、顔をしかめた。

「その日は、どうしても外せない用があるんだ」って。

判ってる。パパはとっても忙しいんだ。

だから、あたしは、自分の事は何でも自分でやらなきゃならない。

「まいも、もう来年は高校なんだから、自分に責任を持てよ」

これがパパの口癖。

だから、あたしは、お隣りの世話好きのおばちゃんに、三者面談に来てくれるように、頼んだ。

おばちゃんは、一応、遠縁の親戚。

ママが生きていた頃からお隣りに住んでいて、ずっとあたしのことをかわいがってくれている。

おばちゃんは、

「まいちゃんは、本当に素直でいいこねー」

そんなふうに、あたしの人格を決めつけている。

おばちゃんのことは嫌いじゃないけど、話していると、何だか、息がつまりそうになる。
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