14才の地図
「いーけどぉ…」

あたしは、ちょっとため息をついた。

なんか、すごく気が大きくなっちゃってる。

こんな奴、ちっとも怖くない。

「あたし、さっき、湘南狂走連合の集会から帰ってきたばっかなの。だから、すごく眠いんだよねー…」

ぎく。

そんなカンジで、アロハのお兄ちゃんは、硬直した。

「またまたぁ…」

お兄ちゃんは、無理したひきつった笑いを浮かべる。

へぇ。ゾクの名前って、すごいんだぁ…。

「あたし、『赤華』の総長のマブなんだ」

ちょっとトクイになった。

「げ。まじかよぉ…」

「判ったら、つきまとわないで」

ぴしゃりと言い放って、アロハのお兄ちゃんを睨みつける。

う、わぁ。

あたしったら、なんか、すごいんじゃない?

自分が、とんでもなく偉くなったような気がして…。

まるで、この世に怖いものなんかなくなったみたい。

真紀ちゃんのマブになった、ただそれだけなのに…。
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