14才の地図
「す、すいません…」

お兄ちゃんは、一歩、二歩ってあとずさって、だっ、と車に走った。

大きなガタイしてんのに、情けなぁい。

車は、あっという間に発進して、見えなくなった。

きっと、湘狂連の女だ、とかなんとか言って、あわてて関わらないことにしたんだろーなぁ。

おっかしーの。

知らないうちに、口元がほころんでいた。

ちょっと、別人になった気分。

何をするという目的もなくて、生きる事に失望しかかっていた、昨日までのあたしじゃないみたい。

なんだかんだ言って、結局、あたしも、他人の評価が気になってたんだ。

だから、息がつまりそうなのに、無理して『いいこ』のふり、してた。

臆病で、見栄っぱりで、殻を破れなくて。

でも、きっかけは、すごく簡単なことだったんだ。

もっと早く、真紀ちゃんと話せば良かった。

クラスの、つまんないコたちなんかとつるんでないで。

「ふぁあぁぁ…」

大きいあくびをした。

ああ、もういいや。

帰って、寝よ。
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