14才の地図
いいこでいることは簡単だけど、ときどき、おもいっきり残酷な方法で、裏切ってみたくなる。

パパや、おばちゃんが、どんな顔をするかな? なんて、ちょっとわくわくしたりする。

そんなことを考えるあたしは、このごろ、どうかしているのかもしれない。

教室の前の廊下に、待合い室みたく椅子が並んでいる。あたしとおばちゃんは、そこに座って順番を待っていた。

あたしは、39番。面談の終わった人から順に帰るので、残っているのは、あたしたちと、あたしの次の、真紀ちゃんだけだった。

空の椅子をみっつ挟んで、真紀ちゃんが座っている。超ミニで決めたスカートから、真っ白な細い足が、ひゅんって伸びている。

真紀ちゃんの親は、まだ来ていないみたいだった。

真紀ちゃんは、きんいろの髪をもて遊びながら、たいくつそう。

「すごい髪ねぇ…」

あたしが真紀ちゃんのほうを窺っているのに気づいたおばちゃんが、小声で言った。

「でも、キレイ…」

つい、本音が口をついて出た。

「冗談じゃないわよ。まいちゃん」

おばちゃんが、あわてる。
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