14才の地図
判ってる。あたしは、素直ないいこなんだ。

「はい」

真紀ちゃんが、ちらっとこっちを見た。

どきん。

聞こえちゃったんだろうか?

真紀ちゃんは、髪をかきあげて、ニッと笑った。

そう、真紀ちゃんは、あたしに笑いかけた。

瞬間、ぼっと、顔が熱くなった。

まるで、片思いの相手に微笑んでもらったように、どきどきした。

そして同時に、不安になった。

真紀ちゃんの眼に、あたしはどんなふうに映っているんだろう?

ただの、何の取り柄もない、つまんない、クラスメートかな?

「まい、お待たせ。次だよ」

新子が、教室から出てきて、あたしに声をかけた。

あたしは、反射的に立ち上がる。

新子に続いて出てきた若いお母さんに、ぺこりとおじぎをして、ドアに向かった。

三者面談は、とてもつまらなかった。

「逆瀬川くんは、ボーダーライン上にいるんです。つまり、これからのがんばり次第で、志望校のランクも上げられるという訳ですね…」

担任の佐伯が、もっともらしく説明する。
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