素直になれない
あたしは足がすくんで

ちょこちょこ歩いてたけど

不思議とあいつとの距離は

変わらなかった。

あ・・・歩幅、合わせてくれてる。

あいつもちょこちょこ歩いてた。


「ほら怖いんなら、手でもつないどくか?」


ぶっきらぼうに差し出された手。

今なら、素直になれる。


「ありが、と」


ぎこちなく握ったその手が

すごくあったかくて、安心した。


「ウサギってあれじゃねぇか」


見ると、カワイイとは言えない

ウサギが3体あった。

あとの2体はきっとみゆきたちのぶん。


「なんだ、全然怖くなかったじゃねぇか」


あたしたちは来た道を戻った。

1本道だから、迷うことはない。

あたし、ちょっとはかわいくなれたかな?
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