素直になれない
「返事はいいから、言いたかっただけだし」


そういうと、あいつは

スッと立って、向こうに行っちゃった。

あたしは突然のことでびっくりして

しばらくここから立てなかった。


「心、そろそろ帰るわよ」


いつのまにか、カレンも帰ってきて

肝試しは終わりになった。

あたしは帰り道、

2人にさっきのことを相談した。


「やっぱり?!みゆき、戸川君はぜったい心ちゃんのこと好きだと思ったんだよね!」
「あたしもそうだと思ったわ」


2人ともなにを言い出すんだろう。

さんざん悪口ばっかり言っていたのに。

いまさら・・・。


「でも、返事はいらないって・・・」
「絶対ほしいはずだよっ!!」
「心、あなたは悠士のことをどう思っているの?」
「どうって・・・」


あたしは、戸川悠士のことを・・・。


「考えてみたらいいんじゃない?」
「うん・・・」


次の日も

カレンの別荘で遊んだけど

何をしたかちゃんと覚えてない。

頭の中は戸川悠士のことでいっぱいだった。


< 27 / 30 >

この作品をシェア

pagetop