残酷ハニー
あたふたしている僕を見ても、もう少女は笑いもしない。
最初と同じ、冷たい瞳をしていた。
二人の間に重たい空気が流れる。
ちょうどその時だった。
「……雪だ」
晴れた空から、ひらひらと雪が降ってきた。
美しい空と太陽に当たり、それはまるで
「……小さな光、だ」
「小さな希望」
僕が「光」と言うと、少女がボソッと呟いた。
「希望」か……。
「…それもそうだね。
ねぇ、君……」
そう言ったところで止めた。
だって、少女はもうそこにはいなかったのだから。
……初雪が降ると、君は消えた。
小さな希望を残して。