残酷ハニー
「…ねぇ、何で死のうと思ったの?」
少女が唐突に、僕の目を見ず船から見える景色を見ながら言った。
「…何でとか、特には…………。
なんか、世界に疲れたんだ」
「……世界、に?」
「うん。
毎日毎日同じことの繰り返しでさ、なんか疲れたっていうか飽きた、のかな?
こんなのばっかだったら、死んだ方がましかなって」
僕のこんな下らない理由にも、少女は何も言わずに黙っていた。
…それも何故か温かい。
「……さっきも言ったけど、人間誰だって矛盾の塊だって」
「うん、だから?」