マイワールド
試合終了の時、
私は思わず拍手をした。
恵子も拍手をしていた。
「勝ったって。」
恵子が私の耳もとでささやいた。
「やったぁ!」
私と恵子は手を叩いて喜び合った。
「彩音ちゃん。」
さきほどの、裕也のお母さんがやってきた。
「はい。」
私は少し上げ調子で返事をした。
「応援に来てくれてありがとう。
恵子ちゃんも。
きっと、あなた達の応援があってこその勝利よ。」
彼女は恐ろしいくらいに優しく微笑んで、
車に乗って帰っていった。
「綺麗なお母さんだよね。
憧れだなぁ。
Tシャツなんてもったいないよ。」
恵子が手を組んで言った。
「子供の試合だから、
あんまりオシャレはしなかったんじゃない?」
私がそう言うと、恵子は目を輝かせた。
「そうやって、気を使えるところも憧れるよ。」
恵子にもおもしろいところがあるではないか。
今の恵子は好きだった。