マイワールド

12

翌日、私はいつもどおりに起きられなかった。

恵子の顔が、頭の中を支配している。

「珍しいな。

早く起きろよ。」

兄にタオルケットを取られて、
渋々立ち上がった。

「学校……行きたくない。」

思わずつぶやいてしまった。

「何?

いじめ?」

兄は心配たのか、立ち止まった。

「違うけど、似てる。」

「恋の悩みとか?」

「それは似てもいないよ。」

「何だよ……。

でもさ、欠席とか遅刻は入試に影響しちゃうからさ。」

「思い切りしてた人に言われたくない。」

「……。

とにかく起きろ。」

こんなに感情に従って会話をしたのは久しぶりだった。
< 123 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop