マイワールド
だが、みんなからの視線が気になり始めると、
私は声のトーンを下げた。

「ししゃんなよ。

ブス。」

レミは小声でそう言い、
ゆりとはるを連れて、教室を出てしまった。

「はぁ?

そっちがブスなんだろ?」

恵子が大声で対抗した。

もちろん、レミ達は振り返らない。


私と男子は黙ってしまったが、
恵子、あかり、ゆいは『ブス』を連発する。


本当のことを言わせてもらうと、
恵子もレミもブスではない。

恵子は、すらりとした長身で、美人系である。

眉毛は綺麗に整えられていて、
髪もサラサラとしている。

少々愛嬌もあるため、かわいこぶっても不自然ではない。


レミは、小さくて、可愛い系だ。

私物はピンクか水色ばかりで、二つ結びがよく似合う。

表情によってキャラを変えやすいらしく、
時折クールに話してみても、おかしくない。


最近、『ブス』は『不細工』という意味ではなく、
『ウザイ』の代わりになっている気がする。

「マジ意味わかんない。」

やっと落ち着いたようだが、三人の顔はひきつっていた。

「まぁ、気にするなって。」

明が恵子の肩を叩いた。
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