マイワールド
「最近、どうなの?」
日曜日。
久しぶりに、早朝の公園で裕也と待ち合わせをした。
話す機会が少なくなってしまった今は、
こうでもしないと、お互いに落ち着かない。
「何が?」
「中栄さんと。
どの変まで話進んだの?」
裕也は興味深そうに聞いてきた。
私は一呼吸置いて話す内容を整理してから、口を開いた。
「今は、いつも電話してるよ。
一時ね、すごい悩んだの。
いろいろ考えすぎちゃってわからなくなったの。
今さ、私達がこうしてる間にも、
意味なく人間によって殺される動物はたくさんいるでしょ?
私達が『夢を叶える』とか言ってる間にそいつらは死んじゃうわけ。
だから、急がなきゃいけないんだって。
こんな風に悩んでるのも、時間の無駄になるんだって。
でもさ、一人じゃ何にもできないから。
そりゃ、中栄さんにはすごい力があるだろうけど、
中栄さんだって、一人じゃ世界なんて変えられないから。
だから、私なんて無理に等しいの。
中栄さんが言ってたんだ。
『急ぐ』と『焦る』は違うって。
焦ってたら、結局空回り。
けど、急ぐなら、徹底的にやれる。
今、私と中栄さんにできることは、
早めに、人に何かを伝えられる映画を作ることなの。
私は、中栄さんに気持ちを伝えなきゃいけないし、
中栄さんのお父さんの気持ちをわからなきゃいけない。
簡単じゃないんだよ……。」
私は手に汗をかいていた。
言ってみて驚いた。
まさか、自分がこんなことを思っていたなんて、
気付いていなかった。
「あ……ごめん。
そういうことがあったってだけ……。」
私は急に恥ずかしくなって、少し引いた。