マイワールド


十月四日。

体育祭の一週間前だ。


私は、体育委員をやっているため、
みんなの前で話すことがしばしば多くなった。

「えっと、ウチのクラスはかなり遅れているようなので、
さっさとやりましょう!

今度の体育祭のスローガンを決めたいと思うんですけど、
何か案はありますか?」

クラスのみんなは真剣に考え始めた。


私は最近、クラス中からの人気者になった気がする。

恵子派でもレミ派でもある私は、クラスの誰とでも話せるのだ。


私が裏切り者だということにはまだ誰も気付いていない。

それもそのはずだ。

私はレミ派のスパイのようなものだから、
普段、恵子達と一緒にいることは、何でもない。

いくら、レミ達の悪口を言おうと、
『あれは素ではない』と思ってもらえる。

ただ、恵子達にバレないように気をつければいいだけの話だ。

「何かある人は手を挙げてください。」

誰も手を挙げない。

「じゃぁ、机を班の形にして、
そうだな……五分間、話し合ってください。」

私がそう言うと、クラスは動いた。

「さすが彩音。

段取りいいのね。」

先生が私の横でささやいた。

「いえ、そんな……。」
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