マイワールド
「職業体験が一週間後に迫っているからな!
自己紹介カードが書けていない人は、それだけに集中!
自己紹介カードが終わった人は、挨拶の練習!
サボるな! 怠けるな!
はい!
始め!」
医療関係の担当は、藤井先生だ。
サッカー部の顧問、担当科目は保体の、バリバリ熱血男教師。
動物病院のメンバーは、私と実とケン。
恵子達と仲のいい、バスケ部の二人だ。
残念なことに、動物病院体験希望者は、この三人だけだった。
しかも、私以外に女子がいないというのは、非常に気まずい。
「俺ら、もう終わったから、挨拶の練習か。
それももう終わったからすることないんじゃね?」
ケンがそう言うと、すかさず藤井先生が飛んできた。
「そんなやる気のないことを言っていいのか!
練習はな、何度したっていいんだ!
当日焦らないために、今練習しなくてどうする!
次そんな言葉聞いたら許さないからな!」
先生は優しく、大声で言った。
「すんません……。」
ケンは照れ臭そうに謝った。
『許さないから』というのは、半分嘘で半分本当だろう。
裕也から聞いた話によれば、
『許さないから』と宣告されたにも関わらず同じことをすると、
藤井先生に怒鳴られるらしい。
だが、十五分もすれば、気持ち悪いほどの笑顔で話し掛けてくるという。
掴みどころのない、学校一の熱血なのだ。
「こえぇ。やる気あるのにな。」
ケンはわざとらしく私に言った。
どうやら、
恵子から、私についての変な話はされていないらしい。