マイワールド
藤井先生が目の前に立っていた。

この先生の、二つ目の特徴だ。

授業中に生徒が余計なおしゃべりをすると、
万遍の笑みで襲ってくる――。

「なぁに、話してるんだぁ？」

予想通り、先生は恐ろしい笑顔を私達に見せつけてきた。

「いえ、何も……。」

「すんません。」

「ちゃんとやります。」

襲われた側は、こう答えるしかない。

「次は許さないからな。」

決めゼリフを言い放ち、
他の班のところへ向かった。


その後は、仕方なく練習をした。

「『こんにちは、西中学校、二年です。

この度は、私達の職業体験を引き受けてくださり、
ありがとうございます。』」

班長の私が、まず一気にそれを言う。

そして次に、

「『武嶋(たけしま)実です。よろしくお願いします。』」

「『戸田(とだ)ケンです。よろしくお願いします。』」

「『先程ご挨拶をさせていただきました、
班長の、相川彩音です。よろしくお願いします。』」

このように三人が自己紹介をしながら、自己紹介カードを渡す。
< 159 / 432 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop