マイワールド
「はるは……?」

先生が心配そうにはるを見つめた。

「ウチのことは……誰が信じてくれるの?」

はるは本当に涙を流していた。

「信じようとは思わないけど、
疑わないよ。

あ、ウチ、もうはるとは仲良くできないから。」

レミが冷たく言った。

「ウチも同じかな。

ごめん、はるとは合わない。」

ゆりも言った。

「はるは……それでいいの?」

先生が冷静に問い掛けた。

「わかんない……。

いじめられないなら……我慢できるかも……しれない……かも。」

はるは顔を腕で隠した。


私も思わず泣きそうになった。

必死に堪えたせいで、呼吸が激しくなった。

「私!」

気付かない間に声が出ていた。

出してしまったのだから、もう言うしかない。

「私じゃダメ?」

ものすごく小さな声になった。

「はっ?」

はるが顔をあげた。

「だから!

私が、はるの友達になるんじゃダメ?」

早口で言った。


少し期待した。

はるのためになると思った。

「いいよ……。

また同じことになったら嫌だし……。

しばらく独りでいるよ。」

その期待は、静かに裏切られた。

「わかった……。」

私はなんだか悔しかった。

「はるがそう言うなら、わかった。

話し合いは終わりにしよう。

まだ何かある人……。」

先生の声が大きくなった。


誰も手を挙げない。

「じゃぁ、
このことは誰も誰にも口外しない、
人をいじめない、
それでいこう。

解散!」

相談室の空気が一瞬にして軽くなった。
< 177 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop