マイワールド
「ここが入院室。

手術後の子や里親探しの子がいるの。」

彼女に案内された場所は、
たくさんのケージが並ぶ『入院室』だった。


私が必死でメモを取っている間でも、
男子二人はニヤニヤしているだけだった。


私は彼らの背中をもう一度叩いた。

だが、あまり効果はなかった。

「午前中の入院室の体験は二人。

ここの担当は、あそこにいらっしゃる関口(せきぐち)さん。

彼と一緒にやってもらうことになる。」

金山先生は、少し離れたところにいる若い男性を手で示した。

「もう、一人は受け付け。

受け付けの担当はあたし。」

その瞬間、実とケンが顔を合わせた。

睨み合っているようだ。

「男の子二人は一緒の方がいいよね。

相川さん、あたしについてきて。」

金山先生は私の手を引いた。


実とケンが急に焦りだす。

「大丈夫だよ。

午後には交代するんだから。

関口さん!

この子達、お願いします。」

彼女は勝手に話を進めて、
私と、入院室を後にした。


受け付けに向かうまでの間も、
金山先生は笑顔のままだった。

彼女の顔の筋肉に感心してしまう。
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