マイワールド
「受け付けはここ。」

受け付けには、薬を出したり質問に答えたりなど、
忙しそうに動き回る獣医師達がいた。


いつもと違う視点で見てみる病院には、
たくさんの発見があった。

「あたしと行動してもらうよ。

挨拶は、『こんにちは』と元気よく。

基本、名前を書いてもらって、
お待ちいただく。

大丈夫ね?」

「はい。」

少しわくわくしてきた。

「こんにちは。

こちらにお名前、
ワンちゃん猫ちゃんのお名前などを書いてお待ちください。」

金山先生は笑顔を絶やさなかった。

「相川さん、やってみる?」

「はい。」

「じゃぁ、今のあたしと同じように言ってね。

笑顔で。

よほどのことがなきゃ口出しはしないから。」

「はい。」

私は猫のケージを持ったおばあさんと目が合った。

「こんにちは、受け付けはこちらです。」

私が言うと、
おばあさんは目を丸くしてやってきた。

「学生……さん?」

おばあさんは私の顔をまじまじと見つめた。

「学校の職業体験なんです。」

「あら、そう……。

楽しそうねぇ。」

「あは……。

お名前と、猫ちゃんのお名前などをこちらにお書きください。」

私は手をパーにして、
受け付けの紙を示した。


おばあさんは優しそうな目をしながら書いた。

「それでは、そちらでお待ちください。」

「はいよぉ。頑張ってね。」

ホッとした。

我ながらうまくできたと思う。

「相川さん、いい感じ。」

金山先生にほめられた。


私はにこりと笑ってみせた。

「でも、ちょっとカチコチかな?

もっとリラックスして!

大丈夫よ。

上手だから。」

「はい。ありがとうございます。」
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