マイワールド
コンコン――。

「失礼します。」

二番の診察室に入った私は、少し緊張した。


院長の明石先生が、
かわいらしいミニツュアダックスフントを診ていた。

飼い主の男性は私を見て目を丸くした。

「どうぞ、そこの端に立っててください。」

明石先生にそう指示され、
私は静かに診察室の奥の端に立った。

「どなた?」

犬の飼い主の男性は、私を見て聞いた。


てっきり明石先生が説明してくれるのかと思っていたが、
そうではないようだ。

「あ……!」

私は慌てて口を開いた。

「中学校の職業体験をさせていただいているんです。」

なんとか言えた。


男性は私の胸元の名札を見た。

「『相川彩音』ちゃん?」

「は……はい。」

「ふぅん。」

「……?」

男性は私から目をそらせた。

「相川さん、少し待ってて。」

診察が終わると、
ケージに入れられた犬、男性、明石先生は診察室を出ていった。
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