マイワールド
「あ、あの……。」

実がひかえめに声を出した。

「どうしたの?」

金山先生は目を丸くして首を傾げた。

「あの犬……どうなったんですか?」

すると、金山先生は瞬きをした。

「私達にできることは精一杯やった。

後はあの子の強さしだいだね。

大丈夫だよ。」

そして、事務所を出た。

「それじゃぁ、さようなら。」

「ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」

てっきりたくさんの先生達が見送ってくれると思っていたが、
金山先生一人だった。

達成感溢れた彼女の笑顔は、
やっぱり真顔よりかっこいい。


私は獣医になりたい――。
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