マイワールド
「お参りしたらおみくじ引こう!」

「オケー!」

五十円玉を投げ込んだ後、私は一瞬戸惑った。

何をお願いしようか――。

『今年一年、元気で過ごせますように。』

何ともありきたり。


後からなら、
『ウーパーの映画がすばらしいものになりますように』
『獣医になるためにしっかりと勉強ができますように』
などと、いくらでもでてきたのに。

「おみくじ行くか。」

「うん。」

百円玉を入れて引いた。


私が開く前に、裕也が声をあげた。

「うっそ、すげぇよ、俺!」

「どうしたの?」

「大吉!」

「いやぁ!

いいことあるよ!

何て書いてあった?」

「『努力が実らないことはありません。

試験、仕事、恋愛すべてにおいて、
諦めなければ成功するでしょう』
だって!」

「裕也!

諦めちゃダメだよ!

とくに『恋愛』!」

「わぁってるよ!

おまえは?」

私は引いたおみくじを開いた。

「吉……。普通だねぇ。」

「ははは。

内容は?」

「『大きな事件に巻き込まれないようにしましょう。

用心深く過ごせば困難は乗り越えられます。』」

「結んでくるか。」

「ちょっとぉ、ノーコメント?」

「イェス。」

「……。

ただのおみくじだし。」

私達は木におみくじを結んだ。
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