マイワールド
「ただいま」
「おかえり」
「おかえり」
「おかえり」
久しぶりに家族四人が揃った。
「お!
彩音、年賀状来てるぞ!」
父が私に葉書の束を渡した。
「少なっ。」
私は驚いてしまった。
去年のお正月は、まだ私が人気者だった頃。
クラスの人からの年賀状が半端じゃなかった。
それに比べて今年は――。
たったの六枚だ。去年(昨日まで)の私は、
やっぱりたくさんの人に好かれてはいなかった。
年賀状の枚数はその目に見える証拠だ。
「気にしなくていいじゃんか、別に。
明日から来るかもしんないし。
お父さんなんかなぁ、
中学の頃の友達はみんな字書くのが嫌いで、
年賀状なんて出さなかったからな。」
父が言った。
「ちょっと!
それ自慢になってない。」
母が父の肩をバシッと叩いた。
そして、私の方を見て、にこりと笑った。
「大丈夫だよ。
関係がある人全員から年賀状が来るわけじゃないんだから。
あ、中栄さんから来てるんじゃない?」
すると、兄が私の年賀状の束を奪った。
「うっそ!
映画監督だろ?
おまえすごくね?
俺、有名人から貰ったことねぇし!」
兄はウーパーからの葉書を抜いて、
隅から隅まで読み出した。
本当は私に届いたのに。
「つか……おまえ、担任の先生以外、男からしか来てねぇぞ!
何だよ?
すげぇじゃん!」
私の年賀状をしっかりと読む兄。
大きくなっても、
やっぱり『幼稚』なお兄ちゃんなんだな、と思う。
「ねぇ、読ましてよ。
っていうか、部屋でゆっくり読みたい!
……じゃぁ、十五分ほど二階に行きまぁす!
では!」
私は兄から年賀状の束を奪い返し、
手をパーにしてから階段を上がった。
「空気読めないやつだなぁ。」
兄がそう叫んでいたが、聞こえないフリをした。