マイワールド
「おっはよお!」

校門の前で、
突然誰かに背中を押された。

「……!」

私は顔を変えてから振り返った。

「あ、おはよ。

加奈実ちゃん。」

「『カナッペ』だって!

ラブラブカップルだねぇ。」

「んなことないって。」

私はいつもの表情に戻すために、
いつも以上に笑った。

「じゃぁ、俺は先行ってるよ。」

裕也が一人で早歩きして行ってしまった。


呼び止めたかったが、
そんな余裕はなかった。

「どぉしたの?

ネーヤア。

全然元気ないけど。」

カナッペが心配してくれた。

「実はおとといさ、
家で飼ってた猫が死んじゃって……。」

自分がどんな顔で言ったのかはわからない。

「そっかぁ……。

それは辛いよね。

ウチも、去年飼ってた犬が死んじゃったなぁ。

一週間ぐらい立ち直れなかったよ。

無理しないでね。

相談に乗るから。」

カナッペは優しく励ましてくれた。

「ありがとう。」

私は精一杯の気持ちを込めてそう言った。
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