マイワールド
「ねぇ、あんたの『楽しく生きる』ってそういうこと?」
本格的な夏になり始めた頃の夜、
母に注意された。
「楽しくないよ。
だけどすることないんだからしょうがないじゃん!」
私は悔しくなって、怒鳴り声をあげた。
「そろそろ、やりたいこととか見つけた方がいいんじゃない?
今は、将来のことを少しずつ考えていく時期でしょ?」
私は、母のことをちらりとも見ずに言った。
母は、ウーパーから何も聞いていないのだろうか。
何も知らないのだろうか。
すると母は、私がやっていたパソコンのコードを一気に抜いた。
「いい加減にしなさいよ!
今からやる気なくしてどうするのよ?
部活もないんだから、そういうことに気を回しなさい。」
母は、私の何もかもを知っているかのように怒鳴りつけた。
私は腹が立った。
「ウザイんだよ!」
それだけ言って、自分の部屋へ逃げた。
誰も、私の気持ちなんて知らない。
私も、誰かに話す勇気なんてない。
こういう時に頼りになるのは、親友なのだろう。
だけど、ネット上での『親友』は上辺だけだから、何の信用もできない。
その時、裕也の顔が浮かんだ。
『話し掛けてもいいから。』――。
もしかしたら話を聞いてくれるかもしれない。
わずかに期待した。
「明日、朝五時、あの公園で。」
独り言で約束をした。