マイワールド
「ごめん。

じゃぁハッキリ言うよ。

カナッペ、はるのこといじめてるでしょ?」

言った後も、
カナッペの表情は変わらなかった。

「なんでそんなこと、
ネーヤアに言われなきゃいけないの?」

「どういう意味?」

「ウチだって好きでやってるわけじゃないんだよ。

知ってるでしょ?

吹部は常に誰かがハブにされてるって。

『いじめはしない』なんて言ってたら、
すぐにターゲットにされちゃうの。

あいまいな表情とか態度も、全部ダメなの。

ネーヤアみたいな男子とつるんでる人にはわかんないと思うけど。」

「そんなの……」

「くだらないとか言わないで。

必死なんだよ。

嫌われたら終わりなの。」

「何それ?

だったらやめちゃえばいいじゃん!」

「そんなこと、ネーヤアに言われたくないよ。

ネーヤアだって退屈なら部活やめなよ。

はぁ……。

てか、何なの?

『いじめ』?

ドラマみたいに、『いじめはいけません』なんて、
簡単に言わないでよ。

何もわかってないくせに。」

「違うよ。

ただ、私はカナッペにそんなことしてほしくないの。」

「嘘だよ。

そんなの。

ネーヤアが本気でウチのこと心配してるわけないじゃん。」

「は?」

「あ……。

今のは気にしないで。

別に何でもない。」


これだけの言い合いをしても、
誰からもおかしな目で見られたりはしなかった。

それだけ店内は賑わっているのだ。


しばらく、お互いに言葉を詰まらせていた。


言いたいことはいくらでもあるのに、
言葉にならない。

言葉にしたら別の意味になってしまう気がする。
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