マイワールド
すでに救急車が来ていた。
私がウロウロしていると、
見覚えのある顔が前から迫ってきた。
「彩音ちゃん。」
裕也のお母さんだった。
今日もTシャツだ。
「あ、あの……何があったんですか?」
私は恐る恐る聞いた。
「明くんが、
対戦相手と正面衝突して……。」
「明が?」
「うん。」
「で……どうなんですか?」
「詳しいことはわからないんだけど……。
多分足の骨折だろうな、って皆さんが。」
「そうですか。」
聞けば、試合終了の合図の後に怪我をしたらしい。
相手はたいしたことないというが、
試合終了後に骨折なんて、明しかしない。
「え?
あの、試合終了後ってことは、
もう結果は出てるんですか?」
「うん。
負けだよ。」
「……。」
衝撃的だった。
団結力のない吹奏楽部が県大会に出場し、
あれだけチームワークのすばらしかったサッカー部が勝てなかった――。
「県大会への夢っていうか……なくなっちゃったね。」
「……。
ありがとうございました。」