マイワールド


「何だよ、それ?

ちょっとまとめて説明してみろ!」

「だからぁ、いじめばっかで団結力のない吹奏楽部が県大会出場して、
チームワーク抜群のサッカー部が負けたの。」

「おまけに相川は加奈実と喧嘩してサッカー部の試合が見れなかった。」

「そう。」

「んで、試合場所についたら明が救急車で運ばれて……
なぜかそこに桜日野兎がいた。」

「そう。」

たまたま帰る時に会った実に、
今日のことを話した。

「半分以上嘘に聞こえるけど。」

「全部本当だよ!」

「マジかぁ。」

実もしばらくは信じられないようだった。

「変でしょ?」

「でもさ、結果は結果だけど、
サッカー部は『思い出に残る負け』で吹奏楽部は『ただの勝ち』だろ?」

「まぁ、それを名ゼリフと取るかキレイゴトと取るかはその人次第だね。」

「名ゼリフだっつの!

俺とおまえは、団結力のある獣医になろうな!」

「……反応に困る。」

「バァカ!

命を救うんだぞ!

喧嘩なんかしてたら大変だよ!」

「まぁその通りだね。」

実と話すと、いつもこういう展開になる。

将来のことを実が熱く語るのだ。

「あ、ごめん。

私、これから用事があるから、また今度ね。

話に付き合ってくれてありがとう。」

別に用事などないが、
話がそれていってしまうと時間がもったいないような気がした。

「あ、マジで?

わかった。

じゃぁまた今度な。」

「うん、バイバイ。」
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