マイワールド


実と別れて家に帰ると、また悩んだ。


私の言っていることが正しい自信はある。

でも、カナッペの言っていた
『ネーヤアと裕也は友達』
だけがどうしてもひっかかる。

キスをする必要などないと思う。

けれど、『助けてもらっているだけ』というのは本当かもしれない。

まず、私は裕也の悩みを知らない。


とその時、家のインターホンが鳴った。


面倒臭いが、家の中は私一人。

出るしかない。

「全く……八時になっても誰も帰ってこないなんてどうかしてるよ。」

ぶつぶつ言いながらドアを開けた。

「はぁい! あ……」

そこにいたのは、明だった。

「グッドイブニング!」

松葉杖を手にし、すねの辺りを包帯でグルグルされている明は、
歯を見せて笑った。

「『グッドイブニング』じゃないでしょ……。

足大丈夫なの?」

私は外に出てドアを閉めた。

「あぁ。

夏休み中には直るよ。」

「そう。

で、どうしたの?」

「いや……ちょっと渡したいものがあって。」

「あ、ホント?

じゃ、中入る?」

「迷惑じゃなければ。」

「どうぞ。」

私はまたドアを開けて、
明を自分の部屋に案内した。
< 318 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop