マイワールド
「おまたせ。」

私はお盆を持って部屋に戻った。


明はボーッと部屋の壁を見ていた。

「どうしたの?」

私が聞くと、明はハッとした。

「あ……いや、
あの写真、前言ってたクリって猫?」

明は、見ていた壁と反対側の壁にかけてある写真に視線を移した。

「え? あぁ、そうそう。

死んじゃったけどね。」

「聞いたよ。

猫ってさ、人間の何倍ものスピードで生きてるんだよな。」

「うん……。

でも年寄りになっても可愛いんだよね。」

「そのとおりだ。」

明と話していると楽しい――。

そう思った。

「相川、なんか最近悩んでる?」

「えっ? 

別にそんなこと……。

なんで?」

「なんか、最近『動物と人間が』……とか言わないじゃん。」

「あぁ。

なんかわかんなくなっちゃったんだよね。

いろいろありすぎて。」

「そっか。」

「大丈夫だよ。

何も悩んでないから。

そのうち元に戻るよ。」

「了解。」

お菓子はあっという間になくなった。


後五分で九時になる。

時間が止まってほしい。

明と
もうすぐ――。
< 321 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop