マイワールド
カナッペはピアノの椅子に座った。

そして、指揮の台に座っている私を無表情で見た。

「何?」

私は控えめに聞いた。


カナッペはしばらく黙ってから口を開いた。

「ネーヤア、ウチのことウザイって思った?」

答えようがない。

「……。

前置きはいいから、
大事なことだけ言ってよ。」

私は夏休みのカナッペの口調を真似した。

「そうだったね。」

カナッペは目以外で笑った。

「もしネーヤアが許してくれるなら……
ウチ、謝るから。」

「……?

『仲直り』ってこと?」

「大体そんな感じ。」

予想外ではなかった。

喧嘩をすればどちらかが『ハブ』になってしまうこの学校だけど、
カナッペはそれについていけていない。

だから、小学生みたいに『仲直り』をしようとしてくるのだ。

もちろん、『ハブ』は許されないことで、
『仲直り』はいいことなのだろうが。


そこまで友達を分析している自分が恐ろしくなった。

「許す……っていうか、
何とも思ってないよ。

いい意味で。」

私がそう言うと、
カナッペはニコリとした。

「ありがとう。

『ごめん』。」

「いいえ。」

私は謝らなかった。
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