マイワールド
「俺が天才なんだよ!

とにかくさ、
みんなと違う考えを持ってるって、すごい才能だよ!

中栄未来大監督からの取材の依頼なんて、大きな第一歩じゃんか!

頑張れよ!」

裕也は立ち上がって、
私の目をしっかりと見つめてくれた。

「あ、ありがとう。」

何かがグッと込み上げてきて、
目の前がかすんで見えなくなった。

そのうち、涙がポロリと一滴落ちて、視界が開いた。

涙が、大粒だったか小粒だったかは、よくわからない。

「んじゃぁ、俺、もう帰るな。」

裕也はジャージの袖をめくって、
そのまま走っていった。

「ありがとう……ありがとう……あり……が……とう……」

嬉しかった。

そして、私も走り出した。

帰る方向は真逆だから、
一緒に帰るとかはしなかったが、別にそんなこと、どうでもよかった。


空には、竜の背骨のような雲がある。

私が走れば追いかけてくる。

私が止まれば一緒に止まる。

私が全速力で走れば全速力でついてくる。


家についた時、もう竜はいなかった。

バラバラになり、いろいろな形になって飛んでいた。

「また頑張ろう!」

私は心に誓った。

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