マイワールド

「……彼女？」

最初にリアクションをしたのは私だった。

「え！　彼女？」

一、二秒後、
裕也は私以上に目を丸くして驚いた。

「そう。彼女。」

明は普通の顔で頷いた。

「相川は諦めたよ。

裕也には負けるからさ。」

「ちょっ、ちょっと待って。

いつから？　どこで始まった？　相手は誰？」

「そそそ！

『いつ？　どこで？　誰？』？　

明！　答えてくれ！」

私と裕也は食いつくように聞いた。

「夏休み後半、骨折した時。

病院の待合室で話し掛けられて。

沙織って人。」

明は教科書を音読するように答えた。

「病院とか、運命的だなぁ。」

裕也は落ち着いてきた。


『沙織』――。

私はハッとした。

「ねぇ、明！

その子って……ちょっとフルネーム言ってみて！」

「当ててみ。」

「……まさか……、『金山沙織』？」

恐る恐る口に出した。

「正解！」

明はまた普通に答えた。

「えぇぇぇっ！

あいつ？　あぁぁぁ、じゃなくて『あの方』？

う、嘘？　何？

告られたの？」

私は思わず立ち上がった。