マイワールド


「先輩、ライオンの担当になったんすよね?

羨ましいなぁ。

俺、今だにアリクイですもん。」

ここは更衣室。


一番親しい後輩が、のんきに話し掛けてきた。

中栄は彼を睨み付けた。

「おまえなぁ……」

そう言いかけた。

「あんたね、そういうのを動物差別っていうの。

アリクイよりライオンの方がいいなんて、
よくそんなこと言えるね。

命は平等な目で見なさい。」

『重井優菜(しげいゆうな)』
という名札をつけた女が中栄の言葉を引き継いだ。

――こいつは俺と同期。

この気の強さは普通ではない。

……つぅか、ここは男子更衣室。


中栄は目をつぶった。

「ちょっ、ちょっと!

ここ、男子更衣室ですよ?」

後輩は慌ててロッカーを閉めた。

「別にいいじゃない。

着替えてないんだから。

それに二人しかいないんだし。

第一、仮に着替えてたとしても、
あんたらの体になんて興味ないから。」

優菜はクールに言った。
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