マイワールド
「ごめんね。あんな手紙廻しちゃって。」
私は帰り道、裕也に謝った。
「いいよいいよ。
どうせあいつだろ?」
「『あいつ』?」
わかっているのに聞き返した。
「おまえの前の席のやつ。」
「だと思った。」
これは、悪口かもしれない。
そう思い、何度も後ろを振り返って、
恵子がいないことを確認した。
「やっぱさ、人間って面倒臭いよね。
恋のテクニック身につけてる暇があったら、
もっと大事なことやれっつの。」
私は頭に血がのぼっていた。
「人間だけ、しかも、その中でも小さな世界で、
意味なく争うなってことか。」
「私が言えることじゃないんだけどね。」
「みんな、誰かを蹴落としたくて、
自分が正しいと思ってて……。
俺もそうだけど、人間って、地球の邪魔者かもな。」
「かもね。
けどさ、そうじゃないって思ってたいんだよね。
やっぱり、真剣に考えていくと難しすぎるよ。
この問題。」
周りから見たら、
私達はどんな会話をしているように思われるのだろうか。
エリートのように見られているならまだしも、
変な中学生と見られていたら、裕也に悪い気がする。