マイワールド


一時間後。

私達はようやく、星川さんの家の前に到着した。

「ねぇ裕也!

私のこと、一人にしないでね。」

急に不安になってきた。

「なんで?

こんなに人がいないんだから、
はぐれることはないだろ。」

裕也は、『ドイナカ』と言っていいほどの景色を見回しながら言った。

「違う!

星川さんといる時!」

「なんで?」

「やっぱ、怖いから。

血とか無理だし……。」

「んな……。

まぁわかったよ。」

裕也はそれだけ言って、
星川さんの家のインターホンを押した。

「はぁい!

あ、裕也くんに、彩音ちゃんだね?

どうぞ。」

感じのいい、若い男だった。

「何してんだよ?

行くぞ!」

裕也に手を引かれた。

「うん……。」

足を動かすのも一苦労だった。

まるで、お化け屋敷にでも入るかのように、
頭の中は『怖い』一色だった。


やっとの思いで中に入ると、ソファーに座るように言われた。
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