マイワールド
「もう、二十二人目になるよ。

こうやって、動物好きの人がここに来るのは。

ま、中学生さんっていうのは初めてなんだけどね。」

星川さんは、にこやかに言った。

「そうですか。」

裕也はそれだけ言った。

きっと、返す言葉が見つからなかったのだろう。

私だって、もし『怖い』という気持ちがなかったとしても、
そう返していたはずだ。

「何か僕に質問とかある?」

星川さんは裕也の受け答えなどお構いなしに続けた。

「……。」

「……。」

沈黙が続く。

「あ、ごめん!

単刀直入にそんなこと聞かれたって、
どうしたらいいかわからないよね。」

「あ、いえ……。

すみません。」

今返したのは私だった。

「もっと二人ともリラックスしてよ!」

星川さんは歯を見せてにこりと笑い、
正座を崩した。


すると、なぜか裕也も正座を崩し、
星川さんと笑いながら見つめ合い始めた。

よくわからない。

何かのアイコンタクトをしているのだろうか。

いや、そんなはずはない。


私はなぜか恥ずかしくなって、ついに正座を崩した。
< 75 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop